ロックンロールの
オリジナル盤の
レコードを聴くお店
人の少ない田舎のはしくれで
目立つ看板に
わかりやすい名前
なのに結局なんのお店かわからず仕舞いで
怪しい外観は二の足をうながしっぱなし
いつまでたっても通り過ぎるばかり
ネットで見かけるも
マニアのこだわりに感じられ
より二の足のダンスに拍車がかかり
遠ざかる一方で
新聞やテレビで見かけ
やはり気になるものの
きっかけがつかめず
ズルズルと先送りに
ライブでもあるまいし
お金を払ってまで
レコードを聴くまでもなく
毎日の移動中は
常に車で大音量で聴けるわけで
いつだって自分の聴きたい曲が聴けるのに
何を好き好んで
わざわざ他人の選曲で
紙コップなんぞでコーヒーを飲みながら
今さらノイズのあるレコードを
聴かなきゃいけないのか
酔狂にもほどというものが
都会じゃあるまいし
そんなへんてこなお店に人が来るか
と言われる人に限って
田舎は何もなくて退屈だと
こぼしがちだったりして
コンビニやスタバが出来たと聞けば
われ先にと行列が出来
昔からある飲食店が
全国ネットのバラエティ番組に出るやいなや
今さらの行列をなすわけで
そのわりに
電話の問い合わせでは
混んでますか
ってな具合で
そんなお店でも
一度足を踏み入れたが最後
毎週通わざるを得なくなる方も
通うには物理的距離がある方も
月一で通われて頂けたりと
ロックンロールが好きか否かでもなく
オーディオに興味があるか否かでもなく
オリジナル盤だとか真空管だとか
誰の曲だとかどんなレコードだとか
そんなことよくわからなくとも
ただただこの音で
大きな音で
空気の振動を
身体全体で浴びる
至福のひととき
コーヒーの味や入れ物も
もはやどうでもよく
滞在時間より移動に時間を費やそうとも
他では感じることの出来ない音が
拡がる塊の音の
暴力的なまでの音圧の
体感的空気の振動の
にも関わらず
いつまでも聴いていられる
音の空間の生々しさは
テレビでも新聞でもネットでも
伝える事など出来るわけもなく
ましてや
たわごと的文章は
その片鱗すら伝えられるわけなどあるはずもなく
いつまでたっても
勇気を出して
新しい扉を開けずに
時が過ぎるにまかせていれば
何もないと思っている田舎の生活は
何もないままで
自ら退屈に埋没せざるを得ず
レコードの音を
聴きにいらっしゃってくださった方々と
時間と空間を共有し
そんな毎日の今日
日々の
新しい出会い
その御縁に
感謝
オリジナル盤のレコードを聴くお店！
ロックンロールレコード
~ お茶の間に間に ~
鳥取県米子市淀江町佐陀834-5
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